二重母音・三重母音に付けるアクセント記号の扱い方

二重母音 (diptongo) とは、母音が2つ並んでいるけれど2音節ではなく1音節として扱うものを指します。同じように、三重母音 (triptongo) は並んだ3つの母音を1音節と見なしているものです。
1999年に二重母音と三重母音の具体的な定義が定められています。

二重母音については

a) Vocal abierta (/a/, /e/, /o/) seguida o precedida de vocal cerrada átona (/i/, /u/) (略)
b) Dos vocales cerradas distintas (/i/, /u/) (略)

(a: 強母音 (a、e、o) の直後または直前に、アクセントのない弱母音 (i、u) があるもの。
 b: 異なる弱母音 (i、u) が2つ続いているもの。)

とされています。
a) の例としては estabais、diario、sueño、
b) の例としては triunfo、ruido などがあげられています。

三重母音については

las secuencias constituidas por una vocal abierta entre dos vocales cerradas átonas

(アクセントのない2つの弱母音の間に強母音が1つ置かれている母音配列)

とされていて、例として confiáis や guau などがあげられています。

この原則を厳密に適用すると、伝統的にアクセント記号付きで書かれ2音節のような扱いになっていた一部の単語が1音節扱いとなり、特殊なアクセント位置を示す場合 (confiáis など) 以外はアクセント記号を付けない、ということになります。
この影響を受けることになるのが、一部の動詞の活用形と、一部の固有名詞 (Ruan、Sion など) です。
動詞の活用形についてはいろいろな例があげられていますが、たとえば guiar の活用形である guie / guio (従来は guié / guió)、reir の活用形である rio / riais (従来は rió / riáis) などがあります。

1999年の正書法改定では従来のアクセント記号付きの書き方も容認されていたとのことですが、2010年の正書法改定で

las palabras que pasan a considerarse monosílabas por contener este tipo de diptongos o triptongos ortográficos deben escribirse ahora obligatoriamente sin tilde

(上記のような二重母音・三重母音があることから1音節と見なされる単語はアクセント記号なしの表記に統一される)

…ことになります。

小学館『西和中辞典』第2版など、この正書法改定より前に発行された辞書では当然ながら従来の表記が採用されているため、お使いの方は注意が必要です。