段 | 原文 | パロディ |
序 | つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて、心に移りゆく由(よし)無し事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。 |
つれづれなるままに、日暮らし、他人に向かひて、心に移りゆく恨み事を、そこはかとなくあたり散らせば、あやしうこそ心地よからめ。 ★・・・とは言ってみたものの、自分がやられるといやですよね〜。みなさんも嫌われないように気をつけてくださいね。 |
三十六 |
「久しく訪れぬころ、いかばかり恨むらんと、我が怠り思ひ知られて、言の葉なき心地するに、 女の方より、『仕丁(じちょう)やある。一人』など言ひおこせたるこそ、ありがたく、うれしけれ。 さる心ざましたる人ぞよき」と人の申し侍りし、さもあるべきことなり。 |
「久しく返さぬころ、いかばかり恨むらんと、我が貧乏思ひ知られて、言の葉なき心地するに、 暴力団の方より、『金やある。返せ』など言ひおこせたるこそ、あさましく、おぼつかなかりけれ。 さる心ざましたる人ぞあしき」と人の申し侍りし、さもあるべきことなり。 ★ご利用は計画的に! |
四十五 |
公世(きんよ)の二位の兄人(せうと)に、良覚(りゃうがく)僧正と聞こえしは、極めて腹あしき人なりけり。 坊の傍らに、大きなる榎(え)の木のありければ、人、「榎木僧正(えのきのそうじゃう)」とぞ言ひける。 この名然るべからずとて、かの木を切られにけり。その根のありければ、「切りくひの僧正」と言ひけり。 いよいよ腹立ちて、きりくひを掘り捨てたりければ、その跡大きなる堀にてありければ、「堀池僧正」とぞ言ひける。 |
公世の二位の兄人に、良覚僧正と聞こえしは、極めて腹あしきオタクなりけり。 坊の傍らに、綾波レイのフィギュアのありければ、人、「エヴァンゲリオンオタク」とぞ言ひける。 この名然るべからずとて、かのフィギュアを捨てられにけり。その箱より月野うさぎフィギュアのパンフの出でければ、「セーラームーンオタク」と言ひけり。 いよいよ腹立ちて、パンフを破り捨てたりければ、その内よりナウシカの原画注文書の出でければ、「ナウシカオタク」とぞ言ひける。 ★まあ、オタクはどこまでもオタク、と・・・。でも、ナウシカとセーラームーンを同格に考えてよかったかなぁ?? |
五十二 |
仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心憂く覚えて、あるとき思ひ立ちて、ただひとり、徒歩(かち)より詣でけり。 極楽寺・高良(かうら)などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。 さて、かたへの人にあひて、「年ごろ思ひつること、果たし侍りぬ。聞きしにも過ぎて尊くこそおはしけれ。 そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参ることこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」とぞ言ひける。 少しのことにも、先達はあらまほしきことなり。 |
仁和寺にある法師、年寄るまで東大を拝まざりければ、心憂く覚えて、あるとき思ひ立ちて、ただひとり、徒歩より詣でけり。 お○の水、○田塾などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。 さて、かたへの人にあひて、「年ごろ思ひつること、果たし侍りぬ。聞きしにも過ぎて尊くこそおはしけれ。 そも、参りたる人びとみな女なりしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、男がただひとり居るはいと恥づかしと思ひて、早々しく罷(まか)りき」とぞ言ひける。 少しのことにも、先達はあらまほしきことなり。 ★東大(本郷)とお○の水は同じ文京区内だからともかく、○田塾を「少しのこと」では済ますのは・・・やっぱり無理があるね・・・ |
八十九 |
「奥山に、猫又といふものありて、人を喰らふなる」と人の言ひけるに、「山ならねども、これらにも、猫の経上がりて、猫又に成りて、人獲ることはあなるものを」と言ふ者ありけるを、 何阿弥陀仏とかや、連歌しける法師の、行願寺の辺にありけるが聞きて、独り歩かん身は心すべきことにこそと思ひけるころしも、 ある所にて夜更くるまで連歌して、ただ独り帰りけるに、小川の端にて、音に聞きし猫又、あやまたず、 足もとへ寄り来て、やがてかきつくままに、頸(くび)のほどを喰はんとす。 肝心(きもごころ)も失せて、防がんとするに力もなく、足も立たず、小川へ転び入りて、「助けよや、猫又よや、猫又よや」と叫べば、 家々より、松ども灯して走り寄りて見れば、このわたりに見知れる僧なり。 「こは如何に」とて、川の中より抱き起こしたれば、連歌の賭け物取りて、扇・小箱など懐に持ちたりけるも、水に入りぬ。 希有(けう)にして助かりたる様にて、這ふ這ふ家に入りにけり。 飼ひける犬の、暗けれど、主を知りて、とびつきたりけるとぞ。 |
「奥山に、リングといふビデオありて、人を呪ふなる」と人の言ひけるに、「山ならねども、これらにも、貞子なる女の経上がりて、ビデオに成りて、人殺(と)ることはあなるものを」と言ふ者ありけるを、 何阿弥陀仏とかや、連歌しける法師の、行願寺の辺にありけるが聞きて、ビデオ見ん身は心すべきことにこそと思ひけるころしも、 ある所にて夜更くるまでビデオ見て、ただ独り帰りけるに、井戸の端にて、音に聞きし貞子、あやまたず、 足もとへ寄り来て、やがてかきつくままに、頸(くび)のほどを喰はんとす。 肝心(きもごころ)も失せて、防がんとするに力もなく、足も立たず、井戸へ転び入りて、「助けよや、貞子よや、貞子よや」と叫べば、 家々より、松ども灯して走り寄りて見れば、このわたりに見知れる僧なり。 「こは如何に」とて、川の中より抱き起こしたれば、「リング」の小説取りて、「らせん」「ループ」など懐に持ちたりけるも、水に入りぬ。 希有(けう)にして助かりたる様にて、這ふ這ふ家に入りにけり。 囲ひける女の、暗けれど、主を知りて、とびつきたりけるとぞ。 ★(( m m )) ←井戸から手が!! |
百四十四 |
栂尾(とがのを)の上人、道を過ぎ給ひけるに、河にて馬洗ふ男、「あしあし」と言ひければ、上人立ち止まりて、 「あな尊(たふと)や。宿執開発(しゅくしふかいほつ)の人かな。『阿字阿字』と唱ふるぞや。 いかなる人の御馬ぞ。余りに尊く覚ゆるは」と尋ね給ひければ、 「府生(ふしゃう)殿の御馬に候」と答へけり。 「こはめでたきことかな。阿字本『不生』(あじほんふしゃう)にこそあなれ。うれしき結縁(けちえん)をもしつるかな」とて、感涙を拭はれけるとぞ。 |
栂尾(とがのを)の上人、道を過ぎ給ひけるに、河にて雑魚釣る男、「しめしめ」と言ひければ、上人立ち止まりて、 「あな怪しや。署名勧誘の人かな。『氏名氏名』と唱ふるぞや。 いかなる人の御竿ぞ。余りに怪しく覚ゆるは」と尋ね給ひければ、 「府生殿の御竿に候」と答へけり。 「こは怪しきことかな。氏名『不詳』にこそあなれ。怪しげなる結縁をもしつるかな」とて、感涙を拭はれけるとぞ。 ★「不詳」が旧仮名遣いでも「府生」と同じ音かどうかは確認していませんが、たとえ違っていても見逃して下さい(哀願) |
百八十二 | 四条大納言隆親(たかちか)卿、乾鮭(からざけ)といふものを供御(くご)に参らせられたりけるを、「かくあやしき物、参る様(やう)あらじ」と人の申しけるを聞きて、大納言、「鮭といふ魚、参らぬ事にてあらんにこそあれ、鮭の白乾し(しらぼし)、何条(なでふ)ことかあらん。鮎の白乾しは参らぬかは」と申されけり。 |
四条大納言隆親卿、乾蛙(からがへる)といふものを供御(くご)に参らせられたりけるを、「かくあやしき物、参る様(やう)あらじ」と人の申しけるを聞きて、大納言、「蛙といふもの、参らぬ事にてあらんにこそあれ、蛙の白乾し(しらぼし)、何条(なでふ)ことかあらん。鮎の白乾しは参らぬかは」と申されけり。 ★原文の「鮭」の魚偏を虫偏に変えただけという、原文との一致率が極めて高い作品です。確かに食用ガエルあたりは結構おいしいらしいですが・・・供御には、ちょっと、ねぇ・・・ |
二百四十三 |
八つになりし年、父に問ひていはく、「仏は如何なるものにか候ふらん」といふ。 父がいはく、「仏には、人の成りたるなり」と。 また問ふ、「人は何として仏には成り候ふやらん」と。 父また、「仏の教へによって成るなり」と答ふ。 また問ふ、「教へ候ひける仏をば、何が教へ候ひける」と。 また答ふ、「それもまた、先の仏の教へによりて成りたまふなり」と。 また問ふ、「その教へ始め候ひける、第一の仏は、如何なる仏にか候ひける」といふとき、父、「空よりや降りけん。土よりや湧きけん」と言ひて笑ふ。 「問ひ詰められて、え答へずなり侍りつ」と、諸人に語りて興じき。 |
八つになりし年、父に問ひていはく、「数学は如何なるものにか候ふらん」といふ。 父がいはく、「数学とは、数の学と成りたるなり」と。 また問ふ、「数は何として学には成り候ふやらん」と。 父また、「数学者の教へによって成るなり」と答ふ。 また問ふ、「教へ候ひける数学者をば、何が教へ候ひける」と。 また答ふ、「それもまた、先の数の学によりて成りたまふなり」と。 また問ふ、「その学となり候ひける、第一の数は、如何なる数にか候ひける」といふとき、父、「一にやありけん。二にやありけん」と言ひて悩む。 「問ひ詰められて、逆ギレし侍りつ」と、諸人に語りて興じき。
★「興じき」って・・・最悪な親父やな(笑) |
原文 | パロディ |
春はあけぼの。 やうやう白くなりゆく山際(やまぎは)、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。 |
春は禿げ者。 やうやう広くなりゆく額際(ひたひぎは)、少し明かりて、薄くなりたる髪の細くたなびきたる。 |
夏は夜。 月の頃はさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。 また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。 雨など降るも、をかし。 |
夏はツルっ。 月の頃はさらなり、闇もなほ、禿の多く歩みちがひたる。 また、ただ一人二人など、ほのかにうち光りて行くも、をかし。 髪など落つるも、をかし。 |
秋は夕暮れ。 夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏(からす)の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。 まいて、雁(かり)などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。 日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。 |
秋は憂鬱。 年かさ増して、禿までいと近うなりたるに、中年の養毛所へ行くとて、三人四人、二人三人など、駆け急ぐさへ哀れなり。 まいて、ヅラなどのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとあさまし。 髪抜け果てて、涙声、狂ひ声など、はた言ふべきにあらず。 |
冬はつとめて。 雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。 昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も白き灰がちになりて、わろし。 |
冬は(髪を)求めて。 髪の生えたるは言ふべきにもあらず、髪のいと白きも、またさらでも、いと長きに、鏡を急ぎ起こして、櫛持て渡るも、いとうらやまし。 歳をとりて、軽く抜け落ちたれば、額(ひたひ)の際(きは)も堅きM型になりて、わろし。 |
原文 | パロディ |
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。 |
試験校舎の鐘の声、授業無情の響きあり。 学生諸君の顔の色、愚者必睡の理をあらはす。 |