下の表は、スペイン語の人名・地名などの固有名詞を、カタカナで書き表すときの一般的な原則 (と私が思っているもの) です。
この表では、子音字 (母音字以外の字) + その後に続く母音字 (a、e、i、o、u) 1 字をひとまとまりとして考えています。
母音字が連続する場合や子音字が連続する場合は、それぞれ 1 文字ずつに分割してください。
子音字の後に母音字がない場合 (Cristina の C や López の z など) は、「後に続く母音字なし」を参照してください。
母音字の前に子音字がない場合 (Eva の E や Jaime の i など) は、「子音字なし」を参照してください。
なお、LL や QU のように、2 字で子音字 1 字とみなしているものもあります。
ここで示したのは便宜上の表記例であり、実際の発音と厳密に一致するわけではもちろんありません。また、あくまで私の個人的な認識にもとづくものであり、絶対的な基準が存在するわけではありません。
なお、スペイン語 (カスティーリャ語) 以外にスペインで公用語として使われているカタルーニャ語、ガリシア語、バスク語には、下の表はもちろんあてはまりません。中南米先住民言語に由来する単語についても、あてはまらないことがあります (たとえばメキシコでは México と書いて「メヒコ」と読みます)。
子音字 | 後に続く母音字 | |||||
A | E | I | O | U | (なし) |
(なし) | ア | エ | イ | オ | ウ | --- |
B | バ | ベ | ビ | ボ | ブ | ブ |
C | カ | セ | シ | コ | ク | ク |
CH | チャ | チェ | チ | チョ | チュ | チ |
D | ダ | デ | ディ | ド | ドゥ | ド 省略(*1) |
F | ファ | フェ | フィ | フォ | フ | フ |
G | ガ | ヘ | ヒ | ゴ | グ | グ |
GU | グア | ゲ | ギ | グオ | --- | --- |
GÜ | --- | グエ | グイ | --- | --- | --- |
H | ア | エ | イ | オ | ウ | --- |
HU | ワ | ウェ | ウィ | ウォ | --- | --- |
J | ハ | ヘ | ヒ | ホ | フ | --- |
L | ラ | レ | リ | ロ | ル | ル |
LL | リャ ジャ ヤ | リェ ジェ イェ | リ ジ イ | リョ ジョ ヨ | リュ ジュ ユ | --- |
M | マ | メ | ミ | モ | ム | ン |
N | ナ | ネ | ニ | ノ | ヌ | ン |
Ñ | ニャ | ニェ | ニ | ニョ | ニュ | --- |
P | パ | ペ | ピ | ポ | プ | プ |
QU | --- | ケ | キ | --- | --- | --- |
R | ラ | レ | リ | ロ | ル | ル |
RR | ラ | レ | リ | ロ | ル | --- |
S | サ | セ | シ | ソ | ス | ス |
T | タ | テ | ティ | ト | トゥ | ト |
V | バ | ベ | ビ | ボ | ブ | ブ |
X | クサ | クセ | クシ | クソ | クス | クス ス(*2) |
Y | ヤ ジャ | イェ ジェ | イ ジ | ヨ ジョ | ユ ジュ | イ |
Z | サ | セ | シ | ソ | ス | ス |
(*1) 語尾の場合 (Ciudad → シウダー)。もちろん、語尾であっても省略せずに「マドリード」(Madrid) のように書くことは可能です。
(*2) 語尾では「クス」(Fénix → フェニクス)、語中の子音字の前では「ス」(Extremadura → エストレマドゥーラ)
あと、「アクセントのある母音をのばすかのばさないか」 (例 : España → エスパーニャ) という問題もありますが、これは「一般的な原則」はありません。
というのは、スペイン語は英語と違って「長母音」がないのです。だから、「アクセントを置いてみたらたまたま音がちょっと長くなって聞こえるような気がしないでもない」という程度のものなので、カタカナ表記としてのばすかのばさないかは、案外どうでもよかったりします。
読んでみて自然ならのばしてもいいでしょうが、少なくともアクセントのない母音をのばすことはないでしょう。
では、スペイン語の名前をカタカナ表記する例をあげてみましょう。
例 : Alicia Rodríguez
→ A-li-ci-a Ro-d-ri-gue-z → アリシア・ロドリゲス
いかがですか?